私たちが生活していくうえで必要となる道路、鉄道、建築物の建設やほ場整備などの工事によって遺跡を破壊してしまう場合があります。近年、発掘調査の成果が新聞やテレビで報道されていますが、その分だけ遺跡が失われているのです。
一度壊れた遺跡は二度と元には戻りません。そこで、工事の前に発掘調査を行い、記録として保存していくのです。
(公財)新潟県埋蔵文化財調査事業団は、国土交通省、東日本高速道路株式会社、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構などの国関係機関から受託し、発掘調査を行っています。
それ以外の県の工事、市町村の工事、民間事業の工事については市町村が対応することになっています。
遺跡とは先人の生活の痕跡です。発掘調査をおこなうと住居跡のように動かせない「遺構」と、土器や石製品、木製品、金属製品といった動かすことの出来る「遺物」が出てきます。しかし、そのままでは記録として活用できません。どの場所のどの地層から出てきた何なのか、いつでも、いつまでも分かる状態にしなければなりません。
発掘調査が終わればなくなってしまう「遺構」は、現場で図面を作成し、写真を撮影しますが、動かせる「遺物」は持ち帰ってからX線写真や赤外線写真、顕微鏡写真の撮影装置を活用して記録を取り、整理して保管します。
記録を取り終わった遺物は分類して保管しますが、劣化しやすい木製品等は化学処理した後、温度・湿度が一定の特別収蔵庫で保管します。また、近年は図面や写真などのデータもデジタル化して、利便性の向上を図っています。
発掘調査は、取った記録を報告書にまとめて完了となります。報告書には調査で得られた遺構や遺物の出土状況、分析結果、実測図、写真などの成果が盛り込まれます。新潟県・新潟県教育委員会・(公財)新潟県埋蔵文化財調査事業団ではこれまでに290集を超える報告書を刊行しており、それらは資料室で閲覧できるようになっています。
それ以外の県の工事、市町村の工事、民間事業の工事については市町村が対応することになっています。
センターの1階では収蔵している遺物の中から各時代を代表する遺物を中心に、県内の遺跡が概観できるような展示を行っているほか、新たに発掘調査した遺跡の遺物も展示しています。(展示案内についてはこちら)
2階には縄文時代の土器を復元して展示しているほか、遺物の整理作業をガラス越しに見ることができます。
発掘現場では、地元の方々にも調査について知ってもらうために、調査が終了間際になると現場を公開して調査員が遺構や調査成果を解説する現地説明会を行っています。これ以外でも事前に連絡していただければ現場見学に応じています。
毎年度末に、遺跡発掘調査報告会を開催しています。発掘調査の成果をスライドなどで分かりやすく発表するとともに、出土遺物の展示も行っています。
当センターでは保管している資料等について以下の貸し出しを行っています。
お問い合わせは、(公財)新潟県埋蔵文化財調査事業団までお願いします。
新潟県教育委員会・(公財)新潟県埋蔵文化財調査事業団が発掘調査した遺跡の資料、報告書はもちろん、県内市町村が発掘調査した報告書、県外の報告書、考古学の書籍、市町村史、歴史資料、関連諸科学の書籍など、埋蔵文化財に関する資料は県内有数の集積量を誇っています。また、それらの検索、閲覧も可能です。